まなぼうや通信

       古代植物「シデコブシ」に会いに行こう!

四日市市は、シデコブシの自生地のほぼ西限にあたります。環境省のレッドデータブックの絶滅危惧U類に挙げられているこの植物は、まさに消えようとしています。この春には清楚で綺麗な淡紅色の花を見に行ってはいかがでしょうか。

シデコブシ(幣拳又は紙垂辛夷、被子植物・モクレン科)
  伊勢湾を取り囲む地域の丘陵、台地、段丘地帯を「周伊勢湾地域」と称し、新第三紀鮮新世(520万年前〜)から第四紀更新世前期(〜70万年)の砂礫層が丘陵や台地の表面を形成しています。それ故にこの地特有の植物群が多く見られます(ホームページ桜郷土史研究会から一部引用)。 シデコブシもその中の一つで、愛知、岐阜、三重の3県だけの地域に自生しています。湿地、豊富な湧水、礫の多い土地、日当たり良好な所などの限られた生育条件が必要で、近年の環境変化により激減しつつあります。四日市市と近辺の管理地では、桜地区、川島地区、菰野町田光の3カ所が有名です。名前は、花の形が神前に供えられる玉串やしめ縄につけられる幣(シデ)に似ていることに由来しています。低山に生える落葉低木で、4月上旬に葉に先立って花が咲きます。


つぼみの色は濃く、開くと淡紅色で時が経つにつれて色が薄くなります。花びらが幣(シデ)に似ているでしょう

桜地区のシデコブシ
  昭和57(1982)年2月16日、四日市市の天然記念物に指定されています。県道140号線(通称ミルクロード)の、桜花台交差点近くの窪地に7本ほど自生しています。南側から竹林が迫り日照不足を感じさせますが、心ある方により伐採され綺麗な花を咲かせています。桜地区のシデコブシは春だけでなく夏7月中旬にも花が咲くことが確認されています。花被(花びらとガク)は12枚、長さが59mmほどで花被幅が12mmと同じ形態をしています。実生から発芽し難い環境になっており、このままでは成木が枯れると消滅してしまいます。実生からの発芽を促すことは非常に難しいことで、下草や竹を刈り、陽当たりをよくすることなど、ボランティアの方々が維持管理の努力を続けています。ホームページ「桜郷土史研究会」を見るとシデコブシ通になれますよ!


春を待つシデコブシ。1月24日撮影しました

川島地区のシデコブシ
  川島町乱飛のビオトープ南側に20本ほど自生しています。昭和63(1988)年11月7日、四日市市指定天然記念物に指定され、平成3(1991)年には三重県指定天然記念物に指定されています。シデコブシの花被は13枚、長さが57mmほどで花被幅は14mmとの報告があります。周りの環境は整備され日当たりも良くなっており生育もしていますが、本数は増えていません。実生から発芽してくれるとうれしいですね。


ビオトープの向こうにシデコブシが成長しています

菰野町田光のシデコブシ
  平成7(1995)年3月に菰野町の天然記念物に、翌年3月に三重県指定天然記念物に、そして、同17(2005)年3月2日に「田光シデコブシ及び湿地植物群落」として国指定天然記念物に指定されました。シデコブシで国指定の天然記念物になっているのは田光だけで、その理由は、シデコブシ以外にも貴重な湿地植物群があるからとのことです。花被数は14枚と12枚、花被幅も22mm、10mmと2つの区域で違いがあります。桜、川島地区とも異なっていて、種が混ざっていないことも窺えます。平成17年4月上旬には、見事に多くの花が咲き、華麗な眺めでした。翌18年は花の数が激減し観賞に来た人たちをがっかりさせましたが、昨年はかなり咲きました。よく見ると周りの雑木を伐採した様子が窺えます。維持管理をする方たちの努力が実っています。谷に降りて観賞するところも設置されているので、ぜひ訪れて近くで観察したいものです。


谷あいに咲くシデコブシ。淡紅色が際立って見えます

各地区のボランティアの方々のお陰で維持管理されていますが、環境が改善され元気なシデコブシが増えることを願っています。

 

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